具体的なリストラの戦略としては、今後成長が期待できる部門への経営資源の再配分、成長が望めなくなった部門、不採算部門や部署の縮小や撤退、工場の閉鎖、組織の簡素化などが行われます。
これに伴い人員の移動、余剰人員の削減(解雇)、給料カットなどが行われることになります。また、将来の有望な事業を求めて会社の買収・売却も含めて、新しい分野に手を広げていく多角化に挑むこともあります。
先にも述べたように、俗語的には、企業側から見れば組織再構築や不採算部門、部署などの縮小・撤退に伴う「従業員の削減」のみを意味するような使われ方をすることが多く、従業員側からみれば、単に「解雇されること」、運がよくても「減給されること」や「正社員からパートへの格下げ」などを意味する場合が多くなっている。
1990年代初頭のバブル崩壊時以降、民間企業では体質改善のためにいわゆる「リストラ」をせざるを得ない状況に迫られたが、本来であれば「首切り」という言葉を使用すべき事態に対する心理的な後ろめたさを軽減するために、企業は敢えて日本語ではなく、英語のカタカナ読みを充てたのである。
巷では、パートの女性なども含めて、日常会話の中で、「リストラされちゃった」とか、「私もリストラ組みです」などの会話が頻繁に使われるようになった。企業が当初、後ろめたさを隠すために訳語の「リストラ」という言葉を使用したわけだが、皮肉なことに、その言葉が今度は、本物の「首切り」だけを意味するようになってしまったのである。
最近になって、リストラという言葉が単に首切りを意味するようになってしまったことから、流石に決まりが悪くなった大手企業や外資系企業を中心に、本来の日本語として「事業再構築」とか「組織再編」などの表現を取るようになってきた。
企業の本質的な体質改善に対応した法律として、分社化や合併、不採算部門の売却などを進める「産業再生法」が1999年に制定されました。また、会社分割制度を創設する改正商法、労働契約の引継ぎルールを定めた「労働契約承継法」が2000年に成立しています。
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