バイオエタノールの製造方法は、サトウキビのかすやトウモロコシ、廃木材、大豆、大麦などに含まれるグルコース分を発酵させて、エタノールとして精製するのです。このエタノールは植物が原料となっていることを示すために「バイオ」の文字がつけられています。
バイオガソリンも炭素を含んでいるので、これらが自動車のエンジン内などで燃焼するときには、当然二酸化炭素を発生します。しかし、原料である植物が成長する過程で、それと同量の大気中の二酸化炭素を吸収し、炭酸同化作用によってサトウキビやトウモロコシなどに変化します。これをカーボンニュートラルといいます。
バイオエタノールは、全体として炭酸を循環使用するだけで、空気中の二酸化炭素量を増加させることがありません。だから、環境に優しいエネルギーとか、地球温暖化防止に役立つエネルギーといわれるのです。
バイオ燃料はいいことだけのようにも見えますが、派生する問題が全くないわけではありません。
現行の自動車エンジンの作りでは、バイオエタノールによってアルミニウム部品が腐食する危険があります。これにより自動車事故に繋がる危険性があるため、日本政府は、当面の措置として、バイオエタノールは「3E」と呼ばれる、3%混合物比までのバイオエタノール混合ガソリンだけを認可しています。この混合物比は、将来的には10%までは上がる見込みです。
もうひとつの大きな問題は、バイオエタノールの原料となるトウモロコシや大豆の食料としての問題です。
現在、トウモロコシや大豆生産国の生産者は、これらの生産物をバイオ燃料用に販売した方が利益が大きいため、食料としての販売、輸出を渋っているのです。このため、食料の価格が急騰していて、日本のように食料自給率が40%しかない国にとっては、深刻な問題になりつつあるのです。
1997年に締結された国際条約「京都議定書」において、日本は、2008~2012年(第一約束期間)には1990年との対比で「温室効果ガス」の排出量を6%削減することとしています。この推進と、食糧確保というディレンマに挟まれている状態は将に日本にとっての死活問題なのです。
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