一般にレーザーの構造は、「レーザー媒質」「光共振器(キャビティ)」および「励起装置(ポンピング装置)」の三つの要素からできています。ルビーレーザーの場合には、レーザー媒質として、ルビーが用いられます。
光共振器は、2枚の鏡面を向かい合わせた構造をしていて、一方の鏡は半透明になっている。そこに波長がキャビティの長さの整数分の一となる光線を当てると、光線は鏡面間を繰り返し往復して、定常波が形成されます。
光線を与え続け、光のエネルギーがある一定レベルを超えると、一部のエネルギーが、完全に波長の揃った電磁波(光線)として半透明の鏡面から外部に放出されるようになります。
この操作をポンピングといい、放出される光がレーザー光線である。レーザー光線は極めて優れた指向性や収束性をもっています。
このルビーレーザーには、大出力を出せる特徴があり、大きなものでは鋼鉄やダイヤモンドでさえ容易に蒸発させて穴を開けることができ、金属の溶接や切断などに使用できるほど強力です。
しかし、発信閾値が高い点や、連続発信、繰り返し発信が困難なために、その後開発されたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーにその座を譲り渡しました。
一方、1960年代に、アメリカの皮膚科医、レオン・ゴールドマン博士が、医療用としてはじめてルビーレーザーを使用しました。ルビーレーザーには、顔面などにできるシミやソバカスなどを薄くしたり、消去したりする効果があるのです。
ルビーレーザー光線には、メラニン色素など茶色系皮膚によく吸収される性質があり、正常な皮膚にほとんど損傷を与えることもなく、シミ・ホクロ・老人性色素斑などの色素を破壊できるからです。このため、現在でも皮膚治療の医療現場ではよく使用されています。
また、ルビーレーザーは、赤色の光を発する固体レーザーとしては有用であり、三次元像を記録する写真や情報記録用に有用なホログラフィーなどにも使用されています。
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