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GPS:全地球測位システム



 GPSは、グローバル・ポジショニング・システムとか「全地球測位システム」「汎地球測位システム」などとも呼ばれています。

 人工衛星を使用して地球上の任意の位置の経度・緯度・高度を正確に測定することができるシステムです。

 GPSは当初は軍事用システムとして開発された技術で、地球上の緯度・経度・高度などを数十メートルから数センチメートルの誤差で割り出すことができるとされます。


 この技術を構成するために、地球周回軌道上に30基ほどの人工衛星が配備され、極めて正確な時刻情報を発信しています。

 GPSの有効性については、岸戦争時にイラク攻撃に使用され、その威力を示したことで周知であるが、最近では自動車のカーナビゲーションや携帯電話などにも搭載されるようになり、民生用としての利用価値も高まっている。

 GPS衛星には、極めて高精度の原子時計が搭載されており、1.2/1.5GHz 帯の電波を用いて、現在時刻や人工衛星の軌道情報などを発信している。GPS衛星はこのような電波を発信しているだけである。

 一方、地上にあるGPSシステムでは、最低でも3基のGPS衛星から発信される電波信号を受信・解析して、現在の経度・緯度を割り出す。GPS4基の電波を受信できる地点なら、緯度・経度の他に高度も割り出すことができる。これがGPSで地球上の現在位置を測定できる原理である。
 この技術はもともと軍事用であり、人工衛星も米国防総省が管理するものであるため、軍事用には数十センチメートルの精度があるが、民生用として一般に開放されている電波には故意に誤差が加えられていて、10メートル程度の測定誤差がでてしまう。

 GPSの情報に加えて、正確な位置が判明している地上基地局から電波を発信し、GPSの誤差を補正する技術(DGPS)が実用化されたことで、現在では数メートルの誤差で自分の現在位置を測定することができるようになった。

 米国以外の各国は、米国の軍事衛星だけに頼っていては正確な位置情報を得ることができないとの不満から、欧州連合各国が共同して別のシステムをプロジェクト名「ガリレオ計画」として開発を開始した。2014年末時点で18機の衛星による初期運用を開始し、2016年末には全30機での運用を開始する予定とされる。

 軍事用に米国のGPSを使用できない中国は、北斗衛星導航系統(BeiDou Navigation Satellite System)を開発し、2012年12月27日よりアジア太平洋地域での運用を開始している。2020年には35機の衛星を飛ばし全世界をカバーする計画である。


GPSとは何か 〔世界のGPS開発〕情報の説明。
GPSの原理  GPS衛星は原子時計を搭載しているので非常に精度の高い時刻情報を発信している。もしも、地上にあるGPS受信機が同じように超高精度の時計をもっているなら、「GPS衛星の時刻と受信時刻の差」を求め、それに電波の速度(光速度)を掛けてやれば、正確な距離が分かることになる。

 衛星から見た場合の自分の位置は、測定された距離分離れた円球面上に存在することになる。次に同様にして、二つ目の衛星との距離を測定すると、その衛星からも距離分離れた円球面上に存在することになる。こうして出きる二つの円球面の交わるところ、一つの円周上に自分は居ることになる。最後に三つ目の衛星との距離を測定すると、その衛星からも距離分離れた円球面上に居ることになり、これと先ほどの円周上の交点として、一つの点の位置が正確に定まる。

 このようにして、三つのGPS衛星からの電波が受信でき、自分が精度のよい時計をもっていれば、空間上の一点として自分の正確な位置が決定できることになるのだが、現実には自分の時計はせいぜいクオーツレベルの精度しかないので、その精度が不正確な分の誤差が発生してしまう。

 そこで、自分の時刻を正確に知るために、4つ目のGPS衛星からの電波を用いることが必要となる。実際のGPS受信機の内部では、自分の位置情報(x,y,z)と時刻情報tとを4つの未知数とする方程式をつくり、自分の時計と4つの衛星との時刻差情報を用いて解くことで正確な位置と時刻を求めている。

 位置を割り出す基本原理はこのようなものであるが、軍事衛星などではさらに巧妙な方法が駆使されている。特性の分かっている生成多項式を使用し、擬似雑音系列を生成して電波を変調して送信するのである。

 この電波は白色雑音のように見えるので、生成多項式が公開されていないなら、その電波が存在していることすら分からない秘匿性があり、たとえ、電波の存在を知ったとしても、元の情報を復調することは不可能となる秘話性がある。

 軍事衛星には、このような技術が使用され、精度、数センチ~数十センチの精密測定が可能で、ミサイルや精密誘導爆弾などの制御に利用している。

 現実のシステムにおいては、米国が人為的に加えた誤差の他にも、衛星から地上までの電波伝播経路の特性、受信可能な衛星の個数・配置による影響、および、衛星が高速で運動していることによる相対性理論効果による原子時計の遅れなどの問題があり、誤差を増大させる要因となっている。

GPSの応用  GPSは軍事面でミサイルや精密誘導爆弾などの制御に応用されるが、民生用としても、航空機、船舶、測量機器、登山用などに利用され、最近では自動車用のカー・ナビゲーション・システム(カーナビ)や携帯電話などにも搭載され利用されるようになった。

 GPSシステムは位置情報を知るだけの機能しかないが、これに携帯電話を組み合わせて、児童誘拐や徘徊老人対策などセキュリティ分野にも応用されるようになった。漁船において、魚群探知機を組み合わせた漁獲支援システムも実用化されている。

ガリレオ計画  欧州連合では、米国が軍事用に開発した現在のGPSでは、精度を高めることに限界があることや、米国支配の構図を嫌って、独自のGPSシステムを開発すべく「ガリレオ計画」を推進している。当初の計画では、本格利用の時期は2010年頃とされていたが、資金面などの問題もあって、2014年末時点で18機の衛星による初期運用を開始している。

 今後、2016年末には全30機での運用を開始する予定とされる。

 尚、ガリレオ計画には、欧州連合のほかにも現在までに、中国、イスラエル、ウクライナ、インド、モロッコ、サウジアラビア、韓国などが参画している。

北斗衛星導航系統計画  軍事用に米国のGPSを使用できない中国は、北斗衛星導航系統(BeiDou Navigation Satellite System)を開発し、2012年12月27日よりアジア太平洋地域での運用を開始している。

 2020年には35機の衛星を飛ばし全世界をカバーする計画である。

日本のGPS計画  日本にも、GPS位置情報を補正して高精度の測位を可能とする「準天頂衛星システム(Quasi-Zenith Satellite System、QZSS)」と呼ばれる計画がある。

 これには、3基の人工衛星が必要で、最初の人工衛星は2008年に打ち上げの予定となっている。用途は純粋な測位衛星としての利用である。長期的な国家の発展や安全保障の確保という観点から、重要なシステムであるとされている。