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IQ:知能指数



 IQとはいわゆる知能指数のことで、知能検査の結果の表示法の一つです。

 知能検査の表示方法には、他にも「知能偏差値」「知能年齢」「知能段階点」「パーセンタイル」などと呼ばれるものがあります。

 IQ(知能指数)の計算方法は簡単で次の式によって算出される。


  IQ = (知能年齢)/(生活年齢) X 100

 ここで、「生活年齢」というのは、誕生日から数えて知能検査を受けた日までの、何歳何ヶ月という年齢を表す。

 また、「精神年齢」というのは、知能検査の結果、何歳何ヶ月に相当する問題が出来たかを意味し、知能年齢ということもある。

 IQの値は、その年齢としては知能が高いか、低いかなどを調べる指数であって、年齢の違う者どうしでIQが異なるからといって、知能の絶対値が高いか、低いかの比較はできません。

 知能検査の方法にもいろいろあるので、検査方法でもIQの値は変わってくるし、同じ検査でも繰り返し測定すれば、見掛けのIQ値は変わってしまいます。また、その日の体調などによっても変化するので、真の値はなかなか掴みにくい特性があるのです。



IQと知能レベル 〔IQと知能レベル〕の説明。
IQの評価  知能指数について、通常のIQは「生活年齢と知能年齢の差」を基準として計算されるが、「同年齢集団内での位置づけ」を基準として計算される「DIQ」と呼ばれるものもあります。

 知能検査の結果が、生活年齢の平均レベルであれば、IQ=100 となり、IQが100より高ければ知能が高く、100より低ければ知能が低いことを意味します。知能指数の統計的分布は、平均が100で、標準偏差は15または16となる分布です。

 現在行われている知能指数の検査でのIQの最高値は160程度であり、IQが200などという値がでた試しはありません。最低値は40程度となっていまする。

IQ値と知能の高さ
IQ>100  平均より高いので、その年齢としては知能が高いといえる。特に、IQが115以上なら相当高く、130以上なら稀に見る高さである。

IQ=100  平均レベルの知能です。IQが85~115の範囲なら、まあ普通の知能レベルと考えてよい。

IQ<100  IQが100より低いと、知能レベルとしてはやや劣るグループに入ることとなります。特に70以下の場合には、何らかの知能的障害があるかもしれません。次の数値がそのような場合の大体の目安となっています。

 ・50~70:軽度知的障害
 ・35~50:中度知的障害
 ・20~35:重度知的障害



トピックス ◆読売新聞に掲載された「IQは知能のごく一部」という記事の紹介をします。
トピックスの引用先  IQに関する興味ある記事が、読売新聞に掲載されていましたので、参考のためにこのページに転載してご紹介します。(全文をそのまま掲載しています。)

 <出典>読売新聞(2008年2月26日付け)
 <記事>日本の知力(IQは知能のごく一部・遺伝だけで決まらず)

IQは知能のごく一部  昨年10月、著名な科学者の発言が全米に波紋を拡げた。「あらゆる社会政策は、黒人の知性が我々と同じということが前提になっているが、テスト結果は必ずしもそう示していない」

 DNA構造の解明でノーベル生理学・医学賞を受賞したワトソン博士の言葉だ。差別発言との非難が相次ぎ、博士は会長を務めていた研究所を辞職した。米国では1994年にも「アフリカ系アメリカ人は白人よりIQ(知能指数)が15ほど低い。理由は遺伝」と記した本が物議を醸した。19世紀ダーウィンの進化論が登場して以来、IQと遺伝の関係は人々の関心を呼んできた。」

 安藤寿康・慶応大教授は双子の研究で知能の謎に挑んでいる。特に、遺伝子が同一である一卵性双生児の行動、能力を比べれば、遺伝と環境がどう影響しているかがわかる。2005~06年に一卵性167組を含む計220組の大人の双子に実施した知能テストでは、IQは<遺伝>の影響が環境の3倍もあるという結果がでた。

 一方、30年でIQが15程度上昇する現象「フリン効果」が多くの国で確認されている。遺伝子は数十年単位では大きく変化しないので、栄養状態の向上やテストへの慣れなど、人々を取り巻く<環境>の変化が原因なのは確かだ。IQは遺伝の影響を受けるが、絶対的なものではない。

 IQ測定の知能テストは、1905年に仏の心理学者ビネーが子供に発達遅れがないか調べるため原型を作った。これが米国に渡り、知能数値化の道具となった。IQ100が平均で、3人に2人は85~115の範囲に収まるとされる。

 日本でも、知能テストは70年代までほとんどの小中学校で行われていたが、現在の実施率は50%程度と見られる。IQ測定が差別につながると学校側が敬遠し始めたのが主な原因だ。

 それでも高IQへの願望は洋の東西を問わず強い。80年、米国の大富豪がノーベル賞科学者や一流大学教授らの精子を集めた天才精子バンクを設立。優れた遺伝子を求める女性たちに精子が無償提供され、200人以上の子供が生まれたが、99年に閉鎖された。

 2005年に発売された任天堂のゲーム「脳を鍛える大人のDSトレーニング」は、頭が良くなりたいという我々の願望をくすぐり、世界で1700万本以上売れるブームとなった。

 IQは奥深い知能の一部にすぎない。知能テストに詳しい村上宣寛・富山大教授によると、最も信頼性が高いとされるテストでもCHC理論のモデルで示される知能の要素の3分の1程度しか測れない。就職試験で使われる知能や性格の検査(SPI)も、性格検査の数値と就職後の勤務成績の相関がほとんどなかったとする結果もある。複雑な知能の働きを一度のテストで測るのは簡単ではない。

 「高IQを生む」と断言できる遺伝子は見つかっていない。90年代、英の研究者が高IQの人たちの遺伝子を調べ、筋肉の成長を促すたんぱく質に関する遺伝子の変異が共通していることを突き止めたが、その意味は解明されていない。

 石浦章一・東大教授(分子認知科学)は言う。「知能にかかわる遺伝子は1000個程度とみられる。だがその半分も働きがわかっていない。全容解明にはまだまだ時間が必要だ。」

 知的発達の遅れがある子供たちに、通常の授業を受けさせるか、特別な教育を受けさせるかを判断する時、直感や経験だけに頼るわけにはいかない。客観的な判断基準が必要になるから、ビネーが考えた知能テストは理にかなったものだったと思う。

 しかしビネー自身は、知能を数値化することなど考えていなかったし、自分の作ったテストは人間の知能を測る絶対のものではないという注意もしていた。ところが、アメリカの心理学者がビネーの注意を無視した。知能テストの結果が陸軍の採用の基準となったり、人種差別の根拠となってしまった。

 30年ほど前にイギリスに行った時、「イレブンプラス」という制度があった。11歳の児童に一斉に知能テストを受けさせ、その結果で大学に行って指導層になるか、労働者階級になるかを決める。知能テストでそんな重大なことを決めてしまっていた。

 IQはいろんなものを学んでいくための基本的な能力だから、能力がどれ位備わっているかを見る指標に使うのは悪いわけではない。しかし使い方を誤ってはいけない。ビネーの原点に戻るべきだと思う。

 もう一つの問題が生じるのは知能が遺伝子との絡みで論じられる時だ。今は差別的な優生思想はなりを潜めているが、日本にも約10年前までは優生保護法があり、遺伝性の精神病質などのある場合、不妊手術や中絶が認められていた。

 今でも経済的理由からの中絶は認められるので、羊水などの検査で胎児に病気の遺伝子がある場合、これを表向きの理由に中絶するケースもある。

 こうした赤ちゃんを産むかどうか、第三者が口出しすべき問題ではない。だが安易な中絶は遺伝病を抱えながらも一生懸命生きている人の否定にもつながるので、そのベースには優生思想があるということだけは忘れないでほしい。

 一つ一つの脳の機能がどの遺伝子によって規定されているか突き止める研究は、学問的に面白いものだと思うが、関係する遺伝子がどんどん解明されたとしても、遺伝子を基に知能の全体像を知るのは無理だと思う。遺伝子だけで決まらない要素があるからだ。

 神経線維が伸びる方向などは遺伝子がつくるホルモンのようなもので決まってくる。しかし、神経線維が最後にどの細胞とつながるのか、一つの細胞なのか、二つなのかなどは、遺伝ではなく環境で決まると私は考えている。従って、人間の知能をコンピューターで模倣、再現することは絶対にできないと思う。

 今後の研究の進展によって、ぎりぎりまでの知能の本質に迫ることはできるかもしれないが、最後のところは解明不可能だろう。でもそういう永遠の謎があってもいいのではないか。(聞き手・宮井寿光)

<注1>一卵性双生児
 受精卵が卵割の初期の段階で二つに分かれ、それぞれが独立して育つため、遺伝子は全く同じで「自然が生んだクローン」と言える。二卵性双生児は別の二つの受精卵から育つため、遺伝子は約50%が同じとなる。

<注2>CHC理論
 知能テストの結果から、人間の知能が3層からなるとしたモデル。知能を、読み書きの能力、推理能力、長期記憶など16の要素に分類している。