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〔P〕で始まる言葉

PET:ポジトロン断層法
 

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〔PET:ポジトロン断層法〕

 PETは「ポジトロン断層法」という医療測定機器の略号で、陽電子検出を利用したコンピュータ断層撮影技術のことをいいます。

 PETは、脳や心臓などの断層映像を撮ることができ、病気の位置や病気の状態、原因などを的確に診断することができる最新の検査法です。

 PETは、現在の医療、特に病気診断技術面で、CTやMRIと並んで頻繁に使用される非侵襲性測定機器のひとつです。

 CT(コンピュータ断層撮影法)やMRI(核磁気共鳴画像法)などが病気などの組織の形態を観察する検査法に対して、PET(ポジトロン断層法)は、生体の機能を観察するとこができる点に特徴があります。






ポジトロン発生核種

〔ポジトロン発生核種〕

 ポジトロンとは、陽電子のことで、普通の電子がマイナスの電荷を持っているのに対して、プラスの電荷を持つ電子のことです。陽電子と電子とは符号はプラス・マイナスと反対ですが、その絶対値は同じです。

 陽電子と普通の電子とは、それぞれがプラスとマイナスの電荷を持つために互いに引き合う性質があり、両者は容易に衝突し結合します。

 陽電子と電子が結合すると、両方とも一瞬で消滅し、電子の静止質量に等しいエネルギー(511eV)の光子(γ線:ガンマー線)が、正反対の方法に2個放出される特性があります。

PETマシン 
(出典:ウイキペディア)

 この特性を利用して病気の診断などに用いるのがPET断層診断装置ですが、陽電子は自然界には存在しないので、PET検査に使用する直前に陽電子を発生させる必要があります。

 陽電子を放出する物質を「陽電子放出核種」といいますが、通常、これらの物質の半減期は比較的に短かいために、サイクロトロンなどの装置により、検査に使用する直前に製造する必要があるのです。

 ここで、ポジトロン核種とその半減期、および使用されるポジトロン発生機の種類を示します。


ポジトロン核種の種類
ポジトロン核種 半減期 発生装置
11C(炭素-11) 20分 小型サイクロトロン
13N(窒素-13) 10分 小型サイクロトロン
15O(酸素-15) 2分 小型サイクロトロン
18F(フッ素-18) 110分 小型サイクロトロン
62C(炭素-62) 10分 ジェネレーター
68Ga(ガリウム-68) 68分 ジェネレーター
82Rb(ルビジウム-82) 75分 ジェネレーター
(表:「PET検査Q&A(2003年3月5刷)」より(日本核医学会、日本アイソトープ協会 発行)

PETの原理

〔PETの原理と検査方法〕

 PET検査では、先ず、陽電子を放出する「陽電子放出核種」を静脈注射するか呼吸により体内に吸入させます。この陽電子放出核種は、血流に乗って身体の中を移動して、脳や心臓などに到達します。

 人体に投与された陽電子放出核種は、体内で崩壊するごとに1個の陽電子を放出する性質があります。放出された陽電子は、体内に無数にある原子中の電子1個と対消滅して、2個の光子(γ線)を正反対の方向に放出させます。

 PET装置には、検査を受ける人の周囲を囲む多数のγ線検出器が配置されていて、二つのγ線を同時に検出したとき、その二つの検出点を結ぶ直線上のどこかで対消滅が発生したことになります。

 これらの情報を集め、解析し、画像処理を施すことで、対消滅が発生した体内の点分布を示す三次元画像を生成することができる。

 トレーサーとなる陽電子放出核種は、血流に乗って体内を巡るので、陽電子の発生と電子との間の対消滅とは、血流が多い部分に集中することになります。

 従って、PET装置で検出される画像は、リアルタイムでどこに血流が集中しているかなどの様子を赤裸々に見せてくれます。

 体内の血流のあるところ、血流が集中する部位の様子は、PET装置により検査できるので、それぞれの目的に合ったPET製剤が存在しています。


ポジトロンで標識したPET製剤
ポジトロンで標識したPET製剤 剤 形 検査目的
15O-酸素 吸入剤 脳酸素消費量の検査
18F-フルオロデオキシグルコース 注射剤 心機能検査、腫瘍検査、脳機能検査
18F-フルオロドーパ 注射剤 脳機能検査(ドパミン代謝)
11C-メチオニン 注射剤 アミノ酸代謝検査、腫瘍検査
11C-メチルスピペロン 注射剤 脳機能検査(ドパミンD2受容体)
13N-アンモニア 注射剤 心筋血流量の検査
15O-水 注射剤 脳血流量の検査
(表:「PET検査Q&A(2003年3月5刷)」より(日本核医学会、日本アイソトープ協会 発行)

PETの応用

〔PETによる検査〕

 神経活動や病気などにより、特定の部位で代謝量や血流量が増大するなら、識別したい指標に合わせたトレーサーを使用してPET画像を作成すれば、どこで何が起きているかを詳細に知ることができます。ここでは、脳や心臓での識別やがんの検査などの方法を示します。


PETによる検査例
脳の検査  脳は、ブドウ糖や酸素を大量に消費していて、血流やエネルギー代謝は、神経細胞活動が活発な部位では高く、衰えた部位では低くなります。この状態を調べれば、脳の部分ごとの機能を詳細に調べることができます。

心臓の検査  24時間休むことなく働いている心臓の筋肉には多くの血液が供給され、多くのエネルギーを消費しています。PETで心臓の筋肉中の状態を調べれば、心臓の異常部位や状態が詳細に調べられます。

がんの検査  がん細胞は、正常細胞より分裂が盛んで、多くのグルコース(糖分)を消費しています。このため、グルコース検出用のPET製剤を用いれば、がんの部位や病巣の大きさなどが詳細に分かるようになります。


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