人間に限らずすべての動物は、体内に摂取した食物をエネルギーに転換する独特の機能を持っています。普通の人が食物から一日に摂取するエネルギー量は、2000キロカロリーくらいですが、これを体内でエネルギーに転換するためには、500リットルほどの酸素が必要です。
酸素自体は体内で食物を化学的に燃やしてエネルギーを発生させる重要な物質ではあるのです。しかし、日常生活の中で、紫外線を浴びたり、タバコを吸ったり、過激な運動をしたり、いろいろなストレスに晒されると、体内で活性酸素が発生してしまいます。
また、加齢や肥満によっても発生量が増加します。およそ酸素を呼吸することでエネルギーを取り出すすべての生物は、食物をエネルギーに転換するために酸素を必要とし消費しますが、同時に副産物として活性酸素を発生させています。
では、どうやって生物は活性酸素の害を防止したり抑制したりできているのでしょうか。
初期の生命にとっては、活性酸素のみならず酸素も極めて有毒な物質でした。現に現在でも酸素存在下では生存できない嫌気性単細胞生物が存在します。
生物は進化の過程で、食物からエネルギーを取り出すとき発生する活性酸素を分解してしまう酵素を生み出しました。体内で発生した活性酸素は、この酵素によって無毒化されるのですが、抗酸化物質とも呼ばれます。
一般に抗酸化物質には、体内で生成される酵素と、体外から摂取する物質の2種類があります。活性酸素と結びついて無毒物質に変化させる代表的な酵素には、次のものなどがあります。
・SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)
・カタラーゼ
・グルタチオン
この抗酸化物質(酵素)を体内で生成する能力は20歳代をピークに徐々に低下します。抗酸化酵素の生成には蛋白質やミネラル類が重要で、特に亜鉛や鉄などの摂取は不可欠です。体外から摂取できる抗酸化物質には、ビタミンC、ビタミンE、ベータ・カロチン、ビタミンAなどがあります。
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