ナルコレプシーの患者には、典型的症状として、寝入りばなや起床時に鮮明な怖い夢を見たり、金縛り、幻覚、幻聴を経験する人が多いです。金縛りとは、夢の中で逃げようとしても身体が動かせない、叫ぼうとしても声が出せないなどの状態になることをいいます。
夢を見ることも多く、何か恐ろしいもの、幽霊とか自分の想像上の先祖とかが、身体に覆いかぶさってきたりするような、不気味で怖い夢を見たりしますが、見た夢はとても鮮明に記憶していることが特徴です。夢を見始めるとき、一瞬、意識がはたらき、「あっ、またあの夢だ!」という風に自分でこれから見る夢を予感してしまうことが起こります。
夢を見、必死になって金縛りと戦っていると、突然、金縛りが解け、声が出せるようになる瞬間がきます。
大きな声で「貴様、一体何なんだ!」などと叫び、覆いかぶさるものを振り払おうと拳骨の腕を振り下ろします。その瞬間、たったいままで、あれほど鮮明に見えていたあの不気味なものが一瞬にしてパッと消え失せます。意識が戻ったのです。
しかし、その夢の一部始終は鮮明に記憶しているために、それからの数日間は夜間に眠ることに大きな恐怖心と不安とを抱くようになるのです。
ナルコレプシーには、次のようなよく知られた症状があります。なお、これらの症状は、すべてが同時に全部発症するわけではなく時間をおいて発症するのが普通です。
睡眠発作
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ナルコレプシー発症時の典型的症状が睡眠発作であり、日中、突然に耐え難い眠気に襲われ眠り込むようになります。「居眠りの繰り返し」症状は、社会生活に少なからぬ影響を与えます。
健常者が、自分の意思である程度睡眠をコントロールできるのに対して、ナルコレプシー患者は、激しい睡魔のために、発作的に眠りこんでしまいます。その時間は、ほんの数秒から、2、3分、10~30分などと様々で、一日に何回でも繰り返します。
自分では目覚めていると思っていても、ほんの一瞬、2~3秒から1分以内ほど眠りに陥ることがあります。ほんの瞬間のことで、本人は眠ったという自覚はないのに、その間の記憶が飛んでしまい、何があったのか分からなくなることがあります。車を運転していて、気づいたら20メートル先を走行していたなどという感じになります。
極端な例では、歩いている時、食事中、車の運転中、上司との面談中、電話の最中、試験の最中、歯の治療時、床屋で散髪時などにも、短時間眠り込みます。
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情動脱力発作 (カタプレキシー)
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情動脱力発作は、カタプレキシーとも呼ばれる症状で、嬉しさや怒りなどの感情が昂ぶった瞬間に突然起こる、脱力症状です。首・全身・ひざ・腰・ほほ・あご・まぶたなどの姿勢筋の力が急に抜けたようになります。
症状的には、周囲の人には気づかれない程度のちょっとした脱力感から、身体が崩れ落ちるような重症のものまであります。脱力発作自体は、数秒から数分で自然に回復しまが、そのまま眠り込んだり、幻覚を見たり、金縛りにあったりもします。発作の頻度はさまざまで、一日に数回から毎週数回などです。
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入眠時幻覚
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入眠時幻覚は、睡眠発作により睡眠に陥った際などの寝入りばなに、本当に体験しているような鮮明で現実感の強い幻覚を見る症状です。
入眠時幻覚では、幽霊などが突然身体の上に覆いかぶさってきたり、窓から忍び込んだ何者かが襲い掛かってきたり、化け物などの不気味なものが身体に擦り寄ってくるなどの幻覚が起こります。
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睡眠麻痺
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恐ろしい悪夢は、強い恐怖心や不安感を誘引するので、心は逃げようともがいても、身体は麻痺してしまいどうしても動かすことができません。しかも、叫ぼうとしても声も出せなくなります。これが睡眠麻痺と呼ばれる金縛り状態です。金縛り状態では、意識があるのに随意筋を動かすことができないのです。
ナルコレプシー患者では、就寝するとすぐに「レム睡眠」に入るため、身体は眠っているのに、脳はまだ起きている覚醒状態に近いのです。このため、脳は活動して夢を見ているけれども、脳からの指令は筋肉には伝わらず、身体は動かせません。こうして金縛りになるのです。
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夜間熟眠障害
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ナルコレプシーの夜間の眠りは、寝付きはよくても途中で目が覚めやすく、健常者に比べると、日中に居眠りをする反面、夜間に熟睡できない等の障害が起こります。
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自動症
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眠さを我慢しているとき、ほんの一瞬だけ眠りに入っても、身体の方はその直前に行っていたこと、普段行っていることを無意識に実行してしまうのが、自動症あるいは自動行為です。
授業中、ノートをきちんと取っているつもりでも、後で見たらミミズが引きずったような意味不明のことが書いてあったり、パソコンで仕事中にマウスを押そうとしていないのに手の方が勝手に動いてしまったりします。極端な例では、家に帰ろうとしているのに、自宅を通り過ぎてしまったり、知らない駅で途中下車してしまったりします。
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その他
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眠気を我慢しているとき、頭重、頭痛がします。また、肥満、多汗症、糖尿病が合併することもあります。
学校や職場で居眠りによる失敗が続くと、自信喪失となり、消極的、受動的、内向的になり、対人関係を嫌うような「ナルコレプトイド性格変化」と呼ばれる症状がでてきます。
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