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MRI:核磁気共鳴画像法
 

〔MRI:核磁気共鳴画像法〕

 1980年代初頭に登場したMRIは、核磁気共鳴画像法と呼ばれる極めて高度に発達した医療機器です。

 核磁気共鳴という現象を利用して、生体内部の情報を高精度に画像化する技術です。

 この装置を用いれば、人体内部の状態が任意の角度で断面画像として見られるので、がんなどの病気の診断に極めて有効な手段となっています。

 この技術は、以前には「Nuclear Magnetic Resonance Imaging」という風に「核(Nuclear)」という文字が付いていましたが、核という言葉からの連想で、患者が放射能に晒されるのではという不安を抱かせるために20年ほど前に「Nuclear」の文字は削除されました。

 現実にこのシステムは、放射能とは全く無縁の安全な装置で被爆の心配などまったくありません。

 MRI(核磁気共鳴画像法)の更に詳しい説明は、当サイトの姉妹サイトである〔健康・医療館〕の中にあるページ

 〔MRI(核磁気共鳴画像法)

で詳細に説明しています。




MRIの原理と装置

〔MRIの原理〕

 MRIの装置は結構大型の機械という感じで、写真に示すように全身を横たえて、丸い穴のあいた装置の中に入り込むようになっています。測定画像の精度を上げるために、身体は軽く固定されます。

MRI装置の写真画像

 MRIは、X線を使用することなく、人体のあらゆる部分の断層画像を描く方法です。

 断層画像という点では、X線CTによるものと似た画像が得られますが、原理的に物質の物理的性質に着目する撮影法であるゆえに、CTスキャンでは得られない多くの情報が得られます。

 脳の内部や脊髄、腹部、血管、四肢など人体のあらゆる部分を任意の角度から撮影し断層画像を得ることができます。放射線を使用することもなく、CTスキャンでは不得手な部分の断面画像も撮影できる点で優れています。

MRIによる画像例

〔頭脳の断層写真画像〕

 下に示す写真は、頭脳のMRI断層写真の一例です。

 任意の角度から撮られたこのような影像を詳細に調べることで、悪性腫瘍(がん)などの病変の存在や、その大きさ、進行度合いなどを容易に確認することができるようになります。

 このような画像をいろいろな切断面で確認することで、正確な診断が可能となるのです。

頭蓋骨のMRI断層写真画像

 MRIによる測定では、画像を明確にするために、血液中にいわゆる造影剤を注入します。診断しようとする臓器などに造影剤が浸透した時点でMRI撮影をすると、その部位の詳細状況が解析できるからです。

 一般に悪性腫瘍(がん)が存在すると、その部位での血流が少ないために、造影剤はすぐには浸透しません。

 このため、造影剤を血液中に急速注入した直後に撮った断層写真では、まだがん部位には造影剤が到達しておらす、画像は白くなります。

 一方、正常部位では、十分な血流により造影剤が短時間に到達するために、造影剤注入直後でも明確な画像が得られます。

 そこで、造影剤急速注入から数分の時間経過後になって、再度、MRI撮影を行うと、今度はがん部位へも造影剤が十分に浸透しているために、明確な画像が得られるようになります。

 このことから、造影剤急速注入直後と数分経過後のMRI画像に大きな変化が現れる部位があれば、そこには悪性腫瘍が存在する可能性が極めて高くなり、がんの存在、その大きさ、進行度などの診断が可能となるのです。

MRIの利点と欠点

〔MRIの利点と欠点〕

 MRIは優秀なシステムですが、もちろん長所と短所とがあります。ここでMRIの利点と欠点をまとめておきます。


MRIの利点、欠点

〔利点〕

・測定にX線を使用しないので、被爆の心配がまったくない。

・画像は、明暗がはっきりと映り、正確な解析がしやすい。

・人体のあらゆる部分を任意の角度から断面画像として撮影できる。主に、脳内部、脊髄、子宮、前立腺、膀胱、骨・関節、軟部組織、大血管などの画像撮影が簡単にできる。


〔欠点〕

・設備費が高価であり、どの医療機関でも使える状況にはならない。

・測定時の所要時間が長い。といっても、10分~1時間くらいのものです。

・骨や石灰化した部分の詳細画像は必ずしもうまく得られない。

・空間分解能力は比較的低い。

・周波数を変更して磁場を変化させるために、工事現場にいるようなちょっと大き目な騒音がします。音は危険を伴うようなものではありません。


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