〔い〕で始まる〔諺〕には、多くのものがあります。これらの中で、次に示す諺などは真実を微妙に言い当てていて面白く、頻繁に耳にします。 |
〔い〕で始まる〔諺〕には、多くのものがあります。これらの中で、次に示す諺などは真実を微妙に言い当てていて面白く、頻繁に耳にします。 |
◆〔諺〕とその内容。 |
いし |
〔石が流れて木の葉が沈む〕 (いしがながれてこのはがしずむ ) |
石が流れて木の葉が沈むとは、物事が通常の道理とは逆になっていることのたとえ。 |
〔石に漱ぎ流れに枕す〕 (いしにくちすすぎながれにまくらす ) |
石に漱ぎ流れに枕すとは、負け惜しみが強く、無理やりこじつけて、自分の説を通そうとすることをいう。 |
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〔石の上にも三年〕 (いしのうえにもさんねん) |
どんなに辛くても、辛抱して続ければ、いつかは成し遂げられるということ。 |
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〔意志薄弱〕 (いしはくじゃく) |
意志が弱く、忍耐、決行などをなしえぬこと、がまん強さに欠けること。 |
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〔石橋を叩いて渡る〕 (いしばしをたたいてわたる) |
壊れようもない十分に堅固に見える石橋でも、なお安全を確かめてから渡ることから、用心の上にも用心深く物事を行うことのたとえ。 |
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〔医者の不養生〕 (いしゃのぶようじょう) |
人に養生を勧める医者が、自分では健康に注意しないこと。正しいとわかっていながら自分では実行しないことのたとえ。 |
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いす |
〔交喙の嘴〕 (いすかのはし) |
「交喙の嘴」とは、イスカのくちばしが上下食い違っていることから、物事が食い違って思うようにならないことのたとえ。 |
いそ |
〔急がば回れ〕 (いそがばまわれ) |
急いで物事をなし遂げようとするなら、危険な近道を行くよりも、安全確実な道を行くほうがかえって得策だというたとえ。 |
いた |
〔鼬の最後っ屁〕 (いたちのさいごっぺ) |
鼬(いたち)の最後っ屁とは、窮地に追い込まれた時などに使う非常手段に訴えるたとえ。 |
〔鼬の道切り〕 (いたちのみちきり) |
鼬の道切りとは、交際や音信がぱったりと途切れることのたとえ。 |
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〔痛む上に塩を塗る〕 (いたむうえにしおをぬる) |
痛い傷口の上に塩を塗ると、いっそう痛みが激しくなることから、悪いことが起きているところへさらに悪いことが重なるたとえ。 |
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いち |
〔一言以ってこれを蔽う〕 (いちげんもってこれをおおう) |
一言以ってこれを蔽うとは、ひとことで全体の意味を言い表すことわざ。 |
〔一事が万事〕 (いちじがばんじ) |
わずかひとつのことを見れば、他のすべてのことを推し量ることができるということ。 |
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〔一字千金〕 (いちじせんきん) |
一字千金とは、一字の値が千金にもあたるほど立派な文章、または文字であること。 |
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〔一難去ってまた一難〕 (いちなんさってまたいちなん) |
一つの災難を逃れてほっとする間もなく、また次の災難が起きることのたとえ。 |
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〔一葉落ちて天下の秋を知る〕 (いちようおちててんかのあきをしる) |
一葉落ちて天下の秋を知るとは、わずかな前兆を見て、後に起きることを予知することのたとえ。 |
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いつ |
〔一挙両得〕 (いっきょりょうとく) |
一つの行動によって、二つの利益を得ること。一つの事をすることにで二つの利益を収めること。一度にふたつの目的がかなうこと。また、わずかな労力で多くの利益を得ることのたとえ。 |
〔一攫千金〕 (いっかくせんきん) |
一攫千金とは、一度にたやすく巨額の利益を得ることのたとえ。 |
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〔一刻千金〕 (いっこくせんしゅう) |
時間の貴重であることのたとえで、わずかな時間が千金にも相当するとの意味。 |
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〔一刻千秋〕 (いっこくせんしゅう) |
ほんの僅かな時間が、千度もの秋が回って訪れるかのごとく、非常に長く感じられるさま。待ちこがれる気持ちのたとえ。 |
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〔一生懸命〕 (いっしょうけんめい) |
命をかけて物事に当たるさま。本気で物事に打ち込むさま。 |
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〔一将功成りて万骨枯る〕 (いっしょうこうなりてばんこつかる) |
一将功成りて万骨枯るとは、功績が目立つ人の影には、それを支えた無数の人の努力や犠牲があるということ。 |
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〔一寸先は闇〕 (いっすんさきはやみ) |
一寸先は闇とは、これから先のことなど全く予測できないことのたとえ。 |
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〔一寸の光陰軽んずべからず〕 (いっすんのこういんかろんずべからず) |
一寸の光陰軽んずべからずとは、わずかな時間も無駄にしてはならないという戒めの言葉。 |
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〔一寸の虫にも五分の魂〕 (いっすんのむしにもごぶのたましい) |
一寸の虫にも五分の魂とは、小さく弱い者にも、それに相応しい意地もあれば根性もあるのだから、虫けらといえども侮ってはならないというたとえ。 |
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〔一斑を見て全豹を卜す〕 (いっぱんをみてぜんびょうをぼくす) |
一斑を見て全豹を卜すとは、物事の一部を見てその全体を推し量ることのたとえ。 |
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〔鷸蚌の争い〕 (いっぽうのあらそい) |
鷸蚌の争いとは、二者が争っている間に、第三者に利益を横取りされ共倒れになることのたとえ。 |
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〔乙夜の覧〕 (いつやのらん) |
乙夜の覧とは、書物を読むことの大切さをいう言葉。 |
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いぬ |
〔犬と猿〕 (いぬとさる) |
犬と猿とは、非常に仲が悪いことのたとえ。仲の悪い間柄のたとえ。 |
〔犬の遠吠え〕 (いぬのとおぼえ) |
犬の遠吠えとは、臆病者が陰で威張ったり、陰口を言ったりすることのたとえ。 |
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〔犬も歩けば棒に当たる〕 (いぬもあるけばぼうにあたる) |
犬も歩けば棒に当たるとは、何かをやろうとすれば何かと思わぬ災難に遭うという戒め。また、出歩けば思わぬ幸運に出会うこともあるとのたとえ。 |
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いの |
〔命あっての物種〕 (いのちあってのものだね) |
何事も命があって初めてできるもの、死んでは何にもならないとのたとえ。命にかかわるような、危険なことはできるだけ避けたほうがよいというたとえ。 |
〔井の中の蛙大海を知らず〕 (いのなかのかわずたいかいをしらず) |
井の中の蛙大海を知らずとは、知識や見聞が狭いこと、識見がないことのたとえ。 |
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いは |
〔衣鉢を伝う〕 (いはつをつたう) |
衣鉢を伝うとは、学問や芸術などの分野で、師匠が弟子に、その道の奥義を伝えることをいう。 |
いふ |
〔威風堂堂〕 (いふうどうどう) |
態度や雰囲気に威勢があり堂々としているさま。 |
いへ |
〔韋編三度絶つ〕 (いへんみたびたつ) |
韋編三度絶つとは、繰り返し熱心に書を読むことのたとえ。 |
いほ |
〔以貌取人〕 (いぼうしゅじん) |
容貌を見て人物の優劣を決める。 |
いわ |
〔鰯の頭も信心から〕 (いわしのあたまもしんじんから) |
鰯の頭も信心からとは、他人から見ればつまらないものでも、信心する者にとっては尊く有難い存在となるというたとえ。 |
〔言わぬが花〕 ( いわぬがはな) |
言わぬが花とは、物事はあからさまに話してしまえば、興醒めしてしまうから、黙っている方がかえって趣があったりして、値打ちがあるものだというたとえ。 |
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いん |
〔殷鑑遠からず〕 (いんかんとおからず) |
殷鑑遠からずとは、戒めとなるお手本は、古いものや遠くのものを捜すまでもなく、ごく身近にあるということのたとえ。 |